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障害年金


病気になって働けなかったときの給付として、傷病手当金はよく知られるところですが、障害という表現、年金というネーミングや企業のPR不足も災いして、「障害年金」は少し馴染みが薄いようです。企業のPR不足という言い方をしましたが、待機3日程度で給付が始まる傷病手当金に比べて、1年6ヵ月間にわたり傷病手当金が支給された、そのあとをまかなう「障害年金」は、従業員が既に退職しているケース等もあり、雇用側が積極的に知らしめていない/知らせる機会も少ない、という実情もありそうです。

障害年金は、次の4つの要件がみたされたとき支給されます。

①初診日要件 ②制度加入要件 ③保険料納付要件 ④障害要件です。

①は、傷病には必ず初診日があり、その日がいつで、どの病医院の初診日であるかを特定させる必要があります。そして、初診日を裏付ける証明が必要になります。

②は、その初診日に、国民年金や厚生年金等の年金制度に加入している必要があります。

③は、まず初診日より前の、加入月数の3分の2以上について保険料が納付済であること(免除含む)、そして初診日の前々月までの12ヵ月について保険料が納付済であること(免除含む)です。

④は、障害の程度が障害等級に該当していること、です。

障害年金の請求の仕方には、次の種類があります。

ⅰ)障害認定日請求 ⅱ)事後重症請求 ⅲ)初めて2級の請求 ⅳ)20歳未満の初診による請求です。

ⅰ)は、初診日から1年6カ月経過した日、あるいはそれ以前の「治った日」の障害の程度が、障害等級に該当していれば、その日以降いつでも請求手続ができることになります。障害認定日の翌月分から障害年金が受給できます。請求の時期が遅れても、最大5年分を遡及して受給できます。

ⅱ)は、障害認定日には障害の程度が軽く障害等級に該当しなかったが、その後該当するようになった場合には、そのときから障害年金の請求ができます。こちらは遡及はありません。

ⅲ)は、既に障害のある人がさらに障害を負ったことによって、それらの障害を併合して初めて2級に該当する場合に請求するものです。受給権の発生は、この複数障害併合の結果2級に達したときですが、年金支給は請求手続を行った月の翌月からになります。

ⅳ)は、初診日が20歳前で、どの年金制度にも加入していなかったとき、20歳に達した時点で障害等級に該当していれば、こちらは国民年金から「障害基礎年金」が支給されることになります。

年金法で「初診日」は「障害の原因となった傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」となっています。どの病院の初診日でもいい、というわけにはいきません。これが本当の初診日だ、というのを確定する必要があります。「前の病院での初診日」があってはいけません。原則として「はじめて治療目的で医療機関を受診した日の医証」(受診状況等証明書ほか、医療機関による客観的な証明)が必要になります。

最も勘違いされやすいものが身体障害者手帳の「障害等級」との関連で、障害年金の障害認定と直接の関係はありません。血液疾患にかかる障害等級の認定基準については、厚生労働省「障害年金の認定(血液・造血器疾患による障害)に関する専門家会合(2016年11月28日)」資料の『国民年金・厚生年金保険障害認定基準(血液・造血器疾患による障害)』に定められています。事後重症請求、初めて2級請求、はたち前傷病請求それぞれに別要件があったりしますが、要は「障害年金」は、1年6ヵ月間にわたり傷病手当金が支給されたあとを補う制度なのです。

出典 : 厚生労働省 障害年金の認定(血液・造血器疾患による障害)に関する専門家会合資料 2016.11.28 ほか

Responsible for the wording of this article is H.Endoh

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