セミナー参加報告
- tutuji
- 2017年1月26日
- 読了時間: 4分
2017年01月14日(土) 埼玉医科大学総合医療センターにて開かれた、日本骨髄腫患者の会主催のセミナーに参加しました。がん一般のセミナーや、広く血液がんのセミナーとは異なり、当然ですが骨髄腫にフォーカスしたものであり、多発性骨髄腫である筆者にとっては、たいへん充実した内容でした。聴講者もたいへん多く、埼玉県を中心とした関東圏および遠くは京都府からの参加で、同学講堂もほぼ埋まるほどの活況でした。さらに、主催の「日本骨髄腫患者の会」副代表/上甲恭子さんのお人柄、熱意が、セミナーをさらに意義深いものにしていました。セミナーの概要は以下のとおりです。
1.「骨髄腫ってどんな病気」 埼玉医科大学総合医療センター/渡部玲子先生
多発性骨髄腫の概要
注意すべき検査数値は?
医療者に伝えるべきからだのサインは?
生活の上で気をつけることは?
不安な気持ちをどうしましょう?
2.「移植非適応の治療と合併症の治療」 埼玉医科大学総合医療センター/多林孝之先生
治療方針の決定
治療目標の設定
治験・臨床試験の意義
各種薬剤による治療の実際(ベルケイド、レブラミド、ポマリスト、カイプロリス、ファリーダック、エムプリシティ等)
3.「若年層の初期治療と再発した時の治療」 埼玉医科大学総合医療センター/得平道英先生
移植適応の推奨治療
地固め療法・維持療法は必要か?
末梢血幹細胞移植は必要か?
‘Narrative Based Medicine’を重要視(主治医と相談しながら二人三脚で)
4.「骨髄腫の最新治療」 埼玉医科大学総合医療センター/木崎昌弘先生
現在の治療薬
新規治療薬の承認状況
さらに新しい治療薬
米国血液学会2016年次総会報告
STaMINA試験、FIRST試験最終解析結果、ダラツムマブの話題(SIRIUS試験、POLLUX試験)
Selinexorの話題(STROM試験)、Venetoclaxの話題
5.Q&A
多発性骨髄腫にも骨髄移植の適応が無いわけではありませんが、白血病等とは異なり治療関連死のパーセンテージが圧倒的に高く、一般的ではありません。化学療法では永らく「アルケラン+プレドニン」の時代が続いたあと、分子標的薬の時代に入って予後は著しく改善しました。新規治療薬時代における多発性骨髄腫の全生存期間中央値は6.1年(2006年~2010年)に至りました。もはや慢性病の領域に近い?という医療者もいます。
残念ながら骨髄腫細胞は、ベルケイド、レブラミド等に対し、いずれは治療抵抗性を獲得してしまいます。上記ASH総会からの報告で、「STROM試験」は、複数のレジメンの治療歴を有する難治性骨髄腫に対するXPO1阻害薬:Selinexor+デキサメタゾンの効果を検証する第2相試験です。さらにBCL-2阻害薬:Venetoclaxの単剤第1相試験は、t(11;14)(染色体の転座/遺伝子異常)を有し、ベルケイド、レブラミド双方に抵抗性を持つ難治性骨髄腫に対する試験です。
以下に、新規薬剤の承認状況についてまとめておきます。 一部を除き、商標名で表記しています。
◆本邦承認済
免疫調整薬 ⇒ サレド、レブラミド、ポマリスト
プロテアソ―ム阻害薬 ⇒ ベルケイド、カイプロリス、ニンラーロ(2017年春頃 承認見込)
HDAC阻害薬 ⇒ ファリーダック
分子標的薬 ⇒ エムプリシティ、ダルザレックス(2017年秋頃 承認見込)
◆検証中のもの
BiTE(Bi-Specific T Cell Engager/抗体医薬療法) ⇒ ブリンサイト
KSP(キネシン紡錘タンパク)阻害薬 ⇒ フィラネシブ
CD138キメラ型モノクロール抗体+メイタンシン ⇒ インダツキシマブ ラブタンシン
プロテアソーム阻害薬 ⇒ マリゾミブ
メルファラン+フルフェルナミド ⇒ メルフルフェン
HDAC6(ヒストン脱アセチル化酵素6)阻害薬 ⇒ リコリノスタット
核外輸送因子XPO1阻害薬 ⇒ セリネクソール
CXCケモカイン受容体4阻害薬 ⇒ ウロクプルマブ
BC-2(B細胞リンパ腫2)阻害薬 ⇒ ベンクレクスタ
SN-38内包高分子ミセル化製剤NK012
CAR‐T療法(カーティ療法)⇒ キメラ抗原受容体発現Tリンパ球を用いた養子免疫遺伝子療法
TCR‐engineered T cell療法 ⇒ 腫瘍抗原を特異的に認識する受容体遺伝子を導入した細胞傷害性Tリンパ球利用
保険収載されたものが3剤しかなかった頃からすると、著しい様変わりようです。2剤・3剤まで組み合わせを考えると、ドクターも迷うほどです。患者のみなさん、うつむかないで≪がんばりまっしょい≫。今後、悪性リンパ腫や白血病、その他希少血液がんについても勉強し、セミナー受講の機会等がありましたら、みなさんに報告申し上げたいと思います。
出典 : 多発性骨髄腫Updating第9巻 医薬ジャーナル社 2016年8月 ほか
Responsible for the wording of this article is H.Endoh