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核酸医薬 episode3


核酸医薬品のうち、siRNA(small interfering RNA)の働きについて見ると、以下のようになります。

21-23塩基対から成る短い2本鎖RNAは細胞内に入ると、アルゴノートという特別なRNA分解酵素と結びついて、RISC(RNA Included Silencing Complex)という複合体を作って、相補的な配列を持つmRNAを切断します。

これは本来、ウイルスRNAを切り刻んだり、自分の遺伝子発現量を抑制したりするための「RNA干渉」と言われる仕組みで、siRNAはこのRNA干渉の原理を応用してタンパク質の発現を抑制します。

核酸医薬品には、標的や作用機序によって以下のような種類のものがあります。

核酸医薬品開発における課題としては、

①核酸分子の生体内での不安定性

生体内に核酸を入れると、ウイルスのような侵入物と認識され、分解されます。

②Drug Delivery System(薬物搬送技術)の困難さ

全身の病気では薬を患部に届けるのが難しく、運ぶ間に分解されてしまいます。

③副作用の懸念

脂質で包んで細胞膜を通り抜けやすくするなど、化学的修飾して薬を患部に届けようとすると、副作用を増大させる懸念があります。

等があげられます。

がん治療研究において、ゲノム解析によるアプローチが進んでいます。

がんをはじめとする様々な疾患の原因は、タンパク質がその主役であると考えられてきましたが、真犯人はタンパク質の発現を緻密にコントロールするmiRNAだ、とする概念も生まれています。

低分子医薬や抗体医薬では、DNAからつくられる最終産物のタンパク質がターゲットでしたが、核酸医薬はこのmiRNAをターゲットにして、がんの原因となるタンパク質をつくらせないようにするものです。

わかりやすく取り上げることがたいへん難しかったのですけれど、核酸医薬について7月から3編のトピックにてお知らせいたしました。

出典:経済産業省「特許出願技術動向調査報告書」2016年3月 ほか

Responsible for the wording of this article is H.Endoh

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